修士論文発表会

「米澤邸」の足跡(変容)にスポット
  信州大学大学院の野澤知佳さんが「修論」で発表

 野澤さんの調査で、「米澤邸」は200年以上前の1818年に建てられ、その後、水害や地震に見舞われながらも増改築・補強して現在に至っていることがわかりました。
 野澤さんは実測調査、平面構成や架構(骨組み)の分析をするとともに、地域の人たちに過去の水害対策や民家の使われ方などをヒアリングして、「米澤邸」主屋の変容過程を明らかにし「修論」にまとめました。


 1818年に使われた棟束は支配者層の民家にみられるとされていますが、米沢家歴代当主は1800年代(3代~5代、現在の当主は10代)に組頭・名主を務めており、それと一致すると野澤さんは分析しています。当初は小屋部分で免震構造としていましたが、時代が下がるにつれ柱梁部分を補強していったこと、水害対策として柱の数を1間ないし半間毎に置いて土壁が流されても建物に影響が出ないようにした構造であることもわかりました。地震のあとの補強工事も随所に見られます。
 こうしたことから、水害常襲地域である長沼地区における民家の形成過程を具体的に示すものであり、野澤さんは「伝統構法の水害への有用性を再認識」できる貴重な古民家であるとまとめています。

 3月20日(日)に実施した発表会にはZoom参加者も含め、約40人の参加がありました。発表終了後は米沢邸の見学を行ない、長屋門に遺っている桑を貯蔵するプールや主屋の屋根裏などをつぶさに見て回り、参加者は貴重な建物であることを改めて強く感じたようでした。

 ※この活動はCIVICFORTHの支援を受けて実施しています。